帰還 IN ジャピトス


 例えば、久し振りに会ったツレに、恋人とか出来てやがったら、お前はどうする?

 俺はとりあえず背中を蹴り倒した。真空飛び膝蹴りで容赦なく。

 いや、なんつーんだろ。彼女が出来たこと自体は目出度いことなんだし、きっと祝ってやったら良かったんだろうけど、妙に腹が立ってさ、その時は。エレジやらメイマイやらサンライオやらの旅路でエラい目に遭い通し、ついでにジャピトスまでの陸路もきっちりと迷った俺からしてみれば、「コイツ、俺が苦労してるところを何テメーだけ幸せな気分に浸ってやがる」みたいな。そんな行き場のない怒りって言うの? に随分悩まされた。
 序でに言えば、どこかでこれもしたんだが、目覚めと共に消える夢の女への感情やら何やらを持て余してた時期でもあったしな、当時。アレね、見たこと無い女にでも(自主規制)ってするのね。悲しいわ、男の身体ってさ。何てバカなんだ、って自己嫌悪に陥る朝一番。トホホ。

 まあ、それは良い。女性陣には実に不愉快な発言した? もしかして俺?


 <<SE:モノが投げられて割れる音、しばし>>


 ――イタタタタ。悪かった、悪かったさ。
 とりあえず、だ。重要なのは、記憶が蘇ってきたことで、ジャピトスがルーツだって言うアースグリムって司教様についての記録があるかな、と思ってジャピトスに帰って来たところで、エオン少年が彼女と幸せそうにウハウハしてやがったワケだ。いやー、ムカついた、って話。

 アースグリムの話? ああ、記録は殆ど残ってなかった。何でも、昔ジャピトスを出た時に殆ど時の大臣達に焼却されちまったらしい。よっぽど悪いことしてたんだろうなぁ。
 で、ジャピトス・アース教会がコリアスに移った後に完全に関連資料は無くなったらしいぜ。ありゃ、過去の人っつーより黒歴史だな、存在自体が。何があったのかは記憶にある分以外知らないけどさ。
 でも、ま、それくらいなーんも無いことが分かってるところの方が今後は行きやすいかもな。

 ただ、分かったことがひとつ。
 どうやら俺には妹みたいな存在が居るらしい。名前はアレーティアというそうなんだが――今はどこに居るんだろうね。

 「血の繋がって無い、妹」。

 こう、妙にインモラルな雰囲気が良いとは思わないかね、男性諸君。
 古人曰く、
「血の繋がった妹なんて要るわけg――」イタイイタイ、モノナゲナイデ! ゴメン、ゴメンって!
 でもアレよ? 男の浪漫を理解しない女は――すみません、ウソです。何でもアリマセン。




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