革命 IN メイマイ
最初は、イズルヒという――今はムロマチが実質的に支配してるんだろうか? ――国の無いところにお宝の存在を求めて定期便に乗って出航したわけなんだけれども――。
嵐(泣
いや、死ぬかと思った、マジで。貧乏だったんで船の底の最低の船室で寝てたのよ。そしたらなーんか冷たいワケ。う
うぇ、しょっぱい! と思ったらそれが海水。いやー、泣きそうだったね、マジで。
ん? 前回に比べて言葉遣いが横柄になってないか、って? 気のせいだ。気のせいです。いやだってさ、間に時間空いたんだもん。時間が経ったら経っただけ人間擦れてくるし、言葉遣いとかも付き合う人間が変われば変わるもんだろ?
俺だってさ、色々あるワケ。でもってまだまだ若いワケ。精神的にも肉体的にも。
知ってる? 俺ってこの世界に生まれてまだ3歳なんだぜ、実は?
「気でも違ってるのか?」って? いや、気が違ってたらもうちょい幸せなんだろうケドネ、生憎と気が触れてるわけじゃないんだわ。
だから腹が減ったら腹が減った、ってちゃんと言う。合理的だろ? ところで美味しそうだな、そのスペアリブ――いや、催促してるわけじゃない。してるわけじゃないよ?
さて――えーと、今回はメイマイでの話だったな。実は、あんまりイイ思い出がねぇ。何しろ三日間も昼夜問わず難破した船の木切れに捉まりながら泳ぎ切って、持ってる装備から何から何まで綺麗に洗って一息ついたら、すぐに革命が起こって物騒になったからな、何かと。革命に参加した連中と同じ時期に入国したから、俺まで疑われて大変。
ただ、ジャピトスやらエレジタットで聞いていたメイマイの官憲についての噂はウソだ、と思ったね。結構紳士的だったしさ。俺は聞いてたよりも紳士的な連中の方に好感を抱いたな。その、革命を起こした連中がよ、何ともゲスな感じに国王の揚げ足取りばっかり主張してやがったからな。
反抗する人間ってのは格好良いもんだが、反抗するために反抗する人間ってのは、似てるようでまるで違う。エラい醜いモンだということをあの国で実感として知ったね。
革命騒ぎに乗じて騒ぐ気にもなれなかったんで物凄く嫌な気分で三日くらい滞在して出国手続に行ったんだが。
ある人にこう言われたんだ。「反抗の為の反抗は確かに醜いが、それこそが自己主張という人間にとってはそれが精一杯なんだ」ってな。
何でも、精一杯生きることは素晴らしい。
俺の前世だっていうアースの神父様だったらきっとそう言うんだろうな。
俺は今でもそうは思えないけど。
でも、ちょっとだけ、ごめんな、って、今なら思うかな。